人は常に他人を意識して買物をする?~行動経済学で読み解く~
お店づくりトピックス
数ある商品やサービスの中から、私たちはなぜそれを選んでしまうのか?
行動経済学の視点から消費者の購買心理を読み解きます。
「バンドワゴン効果」と「スノッブ効果」
私たちは買物をするとき、自分の好みや予算だけで購入する商品やサービスを決めていると思いがちですが、実際には周囲の人々に大きく影響されています。
例えば、人気店に長い行列ができていると、「きっとおいしいに違いない」と思い、自分の好みとは関係なく、並びたくなることがあります。また、通販サイトやチラシなどに「売れ筋ランキング第1位」などの文字があると、その商品を選ぶ傾向があります。周囲と同じ行動を取ることで、失敗するリスクを減らしたいという気持ちが働くためで、多くの人に支持されているものを選びたくなる心理は「バンドワゴン効果」と呼ばれます。
一方で、多くの人が持っている商品には魅力を感じず、「限定品」や「数量限定」といった言葉に価値を見出す場合も少なくありません。他人とは違うものを所有することで、自分らしさや特別感を得たいという心理で、こちらは「スノッブ効果」と呼ばれます。
「社会的選好」を売場作りに生かす
つまり、人は周囲と同じ行動を取ることで安心感を求める一方、時には他人との差別化を求めて商品やサービスを選びます。このように、他人との関係を意識して意思決定を行うことを「社会的選好」と呼びます。どちらの心理で動くかは、商品や購買シーンによって異なります。
例えば、食料品や日用品のように選択肢が多い商品では、「みんなが選んでいるから安心」という心理が働き、「人気ナンバーワン」「多くのお客様に選ばれています」といった情報が購買を後押しします。トレンドが重視されるファッショングッズや映画・本などのエンタメ商品でも、「流行に遅れたくない」という心理から「バンドワゴン効果」が強く働く傾向があります。
一方、趣味性の高い商品やギフト商品では、「人と同じものは嫌」という「スノッブ効果」が刺激され、希少性や独自性の高いものが選ばれやすくなります。
売場づくりや販促を考える際は、「社会的選好」を意識し、「お客様は何を基準にこの商品を選んでいるのか」「この商品を選ぶことでどんな気持ちになれるか」といった視点を取り入れることが大切です。
監修:阿部 誠(東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授)
- 当記事は2026年9月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。