RFID導入事例5選:省人化・効率化を実現した成功の秘訣とは?

2025年11月27日

コラム

■業種・業態:製造業/物流業・倉庫業  
■キーワード:RFID/導入事例/省人化/効率化

この記事のポイント

RFID導入により、棚卸時間の大幅短縮や在庫精度向上が実現できます。本記事では、業種別の導入事例5選を通じて、現場課題の解決策と導入成功のポイントをご紹介します。

RFID自動識別を示すコンベヤの3Dイラスト
コンベヤを流れる出荷品が自動識別されるイメージ

製造業や物流・小売業の現場では、人手不足と業務負荷の増大により、生産性向上が喫緊の課題となっています。解決策として注目されているのが、非接触で複数のタグを一括読み取りできるRFID(Radio Frequency Identification)です。

RFIDの仕組みや基礎知識について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

しかし導入時に多くの企業が直面するのが「現場環境での電波特性の検証」です。金属製の棚や液体商品は電波を阻害するため、事前検証が不十分だと読取エラーが頻発します。RFID導入の成否を分けるのは、現場環境に最適化されたシステム設計と段階的な検証プロセスです。

本記事では、業種別のRFID導入事例5選と、省人化・効率化につながる導入成功のポイントをご紹介します。

RFID導入がもたらすメリットと現場課題の解決

バーコードリーダーで自動読み取りする様子
バーコードリーダーによる検品で、入出荷のボトルネックを解消

一括読取による棚卸・検品の省人化

RFIDは非接触で複数のタグを一括読み取りでき、段ボールに梱包された商品も開梱せずに読み取れます。バーコードのように一つひとつスキャンする必要がないため、棚卸や検品作業の時間を大幅に削減できます。

在庫精度の向上とリアルタイム可視化

目視確認や手書き記録ではヒューマンエラーが発生しやすく、特に過酷な環境下では作業者の負担が大きくなります。RFIDはタグ情報を自動的に読み取りシステムへ即時反映できるため、記録ミスや転記漏れを防げます。在庫管理システムや倉庫管理システム(WMS)と連携すれば、リアルタイムでの在庫状況把握が実現します。

探索時間ゼロ化と問い合わせ対応の迅速化

倉庫内で特定の商品を探す作業は、現場担当者にとって大きな負担です。RFIDハンディリーダーの探索機能により、タグのID情報をもとに商品の位置を瞬時に特定できるため、顧客からの在庫問い合わせに対しても即座に回答できるようになります。

RFIDによる業務改善について、さらに詳しくは以下の記事をご覧ください。

【無料相談受付中】自社でもRFID導入の効果を実感できるか、まずは無料相談でご確認ください。

業種別RFID導入事例5選

アパレル物流業界:季節波動への対応と作業平準化

月間26万点を超える商品を扱うアパレル物流企業では、バーコードによる1点ずつの検品が大きなボトルネックでした。2019年にRFIDトンネル式ゲートとハンディリーダーを導入し、棚卸作業時間が約1/7に短縮。一括読取による検品自動化と既存WMSとの連携により、繁忙期の急激な物量増加にも柔軟に対応できる体制を整えました。

食品製造・冷凍倉庫:過酷環境での棚卸効率化

温度管理された冷凍倉庫の内観
低温環境でも一括読取で棚卸を高速化。事前検証により安定稼働を実現

パン・洋菓子メーカーでは、マイナス20〜30度の冷凍倉庫での在庫管理が課題でした。毎月2回、3名が3〜6時間をかけて棚卸を行っていましたが、極寒の中での作業によりミスが頻発。2025年にRFIDソリューションを導入し、棚卸作業が1名で1分以内に完了するようになりました。事前に金属建材による電波障害を検証し、問題ないことを確認した上で導入しています。

EC・物販業界:個体管理と探索時間の短縮

お酒の買取販売を行うベンチャー企業では、約1万5千点の在庫を個別管理する必要があり、毎月の棚卸に多大な労力がかかっていました。2019年にRFIDハンディリーダーを導入した結果、6名が丸一日かけていた棚卸が2名で1時間足らずで完了。探索機能により倉庫内から目当ての商品を迅速に見つけ出せるようになり、在庫照会への回答スピードも飛躍的に向上しました。

屋外・大型商材管理:複数拠点でのロケーション管理

中古農機具の販売・買取を行う企業では、常時約1,400台の農業機械を屋内外5か所に分散保管していました。年2回の棚卸作業には3名で2〜3日を要していましたが、2024年にGPS+RFIDのシステムを導入。入荷時にRFタグを取り付けてGPS情報と紐づけることで、現地に足を運ばなくても最新の保管場所を把握でき、棚卸がほぼ1日で終了するようになりました。

製造物流業界:ホワイト物流推進とドライバー負荷軽減

段ボール製品大手では、トラックドライバーの2024年問題を見据えたホワイト物流推進が課題でした。従来はドライバー自身がバーコードを読み取って出荷確認作業を行っていましたが、2021年にRFIDによる自動認識ソリューションを導入。トラックへの積み込み時に自動一括検品できる仕組みを構築し、ドライバーの負荷が大幅に軽減されました。

事例から見える成功の共通パターン

5つの導入事例に共通する成功要因は以下の3点です。

  • タグ発行と読取をワンストップで実現:帳票とRFタグを一体化し、帳票印刷と同時にタグへの情報書き込みを完了させることで、現場の業務フローを大きく変えずにRFID運用を開始できる。
  • 既存システム連携で段階的導入:既存のWMSや基幹システムを活かしながら、効果の高い業務から優先的に導入し、成果を確認した上で段階的に適用範囲を拡大することで、投資対効果を早期に実感できる。
  • 現場検証による最適化:実際の現場環境で事前に検証し、金属や液体といった電波を阻害する要素への対策を講じることで、本番稼働後のトラブルを防ぐことができる。特に、想定読取距離での動作確認や、複数タグの同時読取時の誤読率測定など、実運用を想定した検証が重要である。

RFID導入を成功させる4つのポイント

現場環境の事前検証と最適タグ・機器選定

金属や液体は電波を阻害するため、実際の現場環境で小規模な実証実験を行うことが重要です。タグの取り付け位置や種類、周波数帯の選定によって認識率が大きく変わるため、複数のパターンを試して最適な組み合わせを見極めましょう。

RFID導入コストの詳細についてはこちらの記事で解説しています。

運用プロセス設計と現場教育

現場の業務プロセスをRFIDに合わせて見直し、タグ貼付のタイミングや読取エラー発生時の対応手順を明確に整備します。現場担当者への教育訓練も重要で、実際の業務フローに沿った実地訓練を行い、現場スタッフがRFIDの操作に習熟する機会を設けましょう。読取エラーが発生した際の切り分け手順(タグ不良か、リーダー側の問題か)を明確にしておくと、現場の混乱を防げます。

スモールスタートと段階展開

まずは限定的な範囲で導入して効果を検証するアプローチが有効です。小規模なパイロット導入により課題を洗い出してから本格展開することで、無理なく社内に浸透させることができます。パイロット期間中は、現場からの改善要望を積極的に吸い上げ、運用ルールに反映させることが定着の鍵となります。

既存システム連携の設計

既存の基幹システム(ERP)や倉庫管理システム(WMS)との連携設計も重要です。多くの成功事例では、既存システムを全面刷新せず、API連携やミドルウェアを活用することでシステム改修を最小限に抑えています。

東芝テックのA3カラープリンターRFIDソリューション

これまでご紹介した導入事例の中でも採用されているのが、東芝テックが提供するA3カラープリンターRFIDソリューション(帳票印刷とRFタグ書き込みを同時に行えるA3カラープリンター)です。帳票印刷とRFタグ書き込みを同時に行えるA3カラープリンターや、ハードウェア・ソフトウェア・RFタグをワンストップで提供する体制により、現場の業務フローを変えずにスムーズな導入が可能です。

A3カラープリンターRFIDソリューションについて詳しくはこちらの記事をご覧ください。 

お問い合わせ

A3カラープリンターRFIDソリューション導入による棚卸作業の効率化や在庫管理精度の向上について、無料相談を受け付けております。現場環境のヒアリングから最適なシステム設計のご提案まで、一貫した支援体制をご用意しています。

お問い合わせフォームから導入相談やデモのリクエストを受け付けております。

※当記事は2025年11月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。