スマートストア時代、ハードウェアが価値創造の起点になる──現場接点からソフトウェア・サービスへ広がる東芝テックの強み

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東芝テックのPOSシステムやセルフレジが並ぶ展示空間で、ハードウェアを起点にソフトウェア・サービスへ広がる価値創造を紹介する記事のメインビジュアル。

近年、小売業界ではセルフレジやモバイルオーダー、AI活用によって、買い物のあり方が大きく変わりつつあります。その変革を支えるのはデータやソフトウェアですが、その価値を店舗で形にするのはハードウェアです。 東芝テックは、国内トップクラスのPOSシステムシェア(国内シェア約53%※)を強みに築いてきたお客様との接点を起点に、ソフトウェアやクラウドへと価値提供を広げています。長年にわたり店舗の最前線を支えてきたハードウェア商品部の櫻井氏に、スマートストア時代に求められるハードウェアの役割を聞きました。

ソフトウェア時代に、なぜハードウェアが価値創造の起点となるのか

ハードウェア商品企画の責任者を務める櫻井氏は、ソフトウェアやデータ活用の重要性が高まる今だからこそ、ハードウェアが果たす役割も大きくなっていると語ります。スマートストア時代において、東芝テックにとってハードウェアはどのような価値を持ち、どのような役割を担っているのでしょうか。

身振りを交えて説明する櫻井氏
東芝テック株式会社 プロダクト・プランニング&クリエーションセンター ハードウェア商品部 部長 櫻井 郁弘氏

「スマートストア化が進む中で、ソフトウェアやデータ活用の重要性はますます高まっています。しかし、その価値を実際の店舗で実現するためには、お客様との接点となるハードウェアが欠かせません。国内外の多くの店舗で利用されている東芝テックの製品は、日々の店舗運営を支えると同時に、現場で起きている課題や変化をいち早く捉えるための貴重な窓口でもあります。そこで得られた知見を商品やサービスの進化につなげてきたことが、東芝テックの競争力の源泉です。そのためハードウェアは、単なる機器ではなく、お客様との接点を生み、そこから次の価値を生み出す起点であり、そこに大きな可能性があると私は捉えています」

現場を知り、使う人を知る。東芝テックのハードウェア開発

近年、セルフレジの普及によって、店舗の機器を利用するのは従業員だけでなく、消費者自身にも広がりました。利用者の中には、子どもから高齢者、車いす利用者までさまざまな人が含まれます。そのため、誰もが迷わず快適に操作できる設計が求められています。こうした使いやすさは、買い物体験の向上だけでなく、店舗の運営効率や顧客満足度など、小売業のビジネスに直結する重要な要素です。

これまで家電、医療機器、電子機器、住宅設備など、国内外の企業で商品企画に携わってきた櫻井氏は、「商品企画の中で、最も難しいのがBtoBtoCだと感じています」と語ります。

「導入を判断する企業の要望だけを聞けば、良い商品になるわけではありません。店舗スタッフだけでなく、実際に利用する買い物客まで含めて考えなければなりません。導入する側にも、使う側にも価値を感じてもらえてこそ、本当に良い商品になるのです。また、グローバルネットワークを通じて、国や地域ごとの買い物文化やITへの考え方の違いに触れる機会があります。東芝テックグループ全体で国内だけでなくグローバルでも店舗づくりを支えており、各国の知見を共有しながらそれぞれの市場に合わせたものづくりを進めています。日本のお客様を誰よりも理解しているのは日本のメンバーです。そうしたお客様や店舗の実態に向き合いながら、より良い商品づくりを進めていくことが重要だと考えています」

より良い商品づくりを進めていくことの重要性を説明する櫻井氏

こうしたものづくりを支える東芝テックの強みの一つが、現場との距離の近さです。高いシェアを背景に幅広い業種・業態のお客様の店舗運営を支えてきたことで、多様な課題やニーズが日々集まります。商品企画、開発、営業、保守がそれぞれの立場で得た知見を共有しながら、次の商品やサービスへ生かしてきたことが、東芝テックの商品開発を支える大きな強みです。

さらに東芝テックでは、現場の声だけに頼るのではなく、人間工学に基づく定量データを組み合わせながら、本当に使いやすい形を追求しています。仮説と検証を繰り返し、使う人の姿勢や動きを分析することで、感覚ではなくデータに基づいた開発を行っています。

「例えば、会計時に両手がどれだけ移動するのかをモーションキャプチャーで解析し、人の動きに合わせて設計を見直した結果、両手の総移動距離を約10%短縮できました。一見するとわずかな改善に見えるかもしれません。しかし、レジ業務は1日に何度も繰り返されるため、この積み重ねがスタッフの負担軽減や作業効率向上につながります。現場で働く人の使いやすさを突き詰めることは、より快適な店舗運営や顧客体験の向上にもつながっていくのです」

モーションキャプチャーでレジ操作時の姿勢と両手の動きを解析し、レジ台の高さと機器配置を改善。両手の総移動距離を約10%短縮。

もう一つ欠かせないのが、品質です。POSシステムは店舗運営を支えるインフラです。万が一故障すれば営業そのものに影響しかねません。商品化までには50項目以上にわたる品質検証を実施し、長く安心して使える品質を追求しています。

「お客様から寄せられる現場の課題に対して、新たな発想で解決に取り組んできたことも東芝テックの特長です。例えば、セルフレジの普及に伴い増加した釣銭機の硬貨オーバーフローによるシステム停止の課題。これに対し、家庭用冷蔵庫の自動製氷機が氷を自動で排出する仕組みに着想を得て、硬貨を自動的に排出する機構を開発しました。

これにより、硬貨のあふれによるシステム停止リスクを低減し、店舗スタッフによる対応負荷の軽減やレジ停止時間の削減に貢献しています。店舗の業務を止めないために、異なる業界の技術や発想も積極的に取り入れているのです」

店舗ごとに異なる「最適解」を形に

そうしたハードウェア開発の思想を形にしたのが、新たなPOSターミナル「SS-U1」です。セルフ化や省人化が進む店舗では、限られたスペースにPOS端末を置きたい、レジの台数を増やしたいなど、これまでとは異なるニーズが生まれています。そこで目指したのが、一つの完成形をすべての店舗に当てはめるのではなく、店舗ごとに異なる運営やレイアウトに合わせて、柔軟に構成を変えられるPOSターミナルです。

店舗の運用や設置スペースに合わせて、ディスプレイやプリンターなどを柔軟に組み合わせられるPOSターミナル「SS-U1」の構成例。
「SS-U1」の組み合わせパターンの一例

「SS-U1」は、ディスプレイやプリンターなどの機器を、まるでブロックのように組み合わせ、店舗の業態や運用方法に合わせて柔軟に構成できる商品です。構成は全24パターン。業界最小クラスの構成では、A5の用紙サイズほどのスペースがあれば設置できます。

限られたスペースを有効活用できるため、設置場所の選択肢が広がります。レジ周辺にゆとりが生まれることで、店舗スタッフはより働きやすくなり、お客様にとっても快適な買い物空間の実現につながります。

「こうした柔軟性を実現できるのは、プリンターやスキャナーなど、さまざまなデバイスを開発してきたノウハウがあるからです。個々の機器を小さくするだけでは、使いやすいPOSシステムにはなりません。複数のデバイスを組み合わせたときにどう機能するのか。全体を見ながら細部をすり合わせ、最適な形へ近づけていく。その技術の蓄積が、”SS-U1”にも生かされています」

お客様が求める機能を備えたソフトウェアがあったとしても、店舗の広さやレイアウト、業務オペレーションに合った形でハードウェアを設置できなければ、その価値を十分に引き出すことはできません。例えば、省スペース化によってレジ周辺にゆとりが生まれれば、セルフレジやモバイルオーダーなどの新しい仕組みも導入しやすくなります。つまり、ハードウェアは単なる器ではなく、ソフトウェアやサービスの価値を現場で実現するための土台でもあるのです。

ハードとソフトの両方を見ながら、店舗ごとの最適な形を考える。その可能性を「SS-U1」は示しています。

ものをつくる前に、人と組織をつくる

こうしたハードウェアの価値をさらに高めていくため、2025年にはお客様業態ごとに分かれていた商品企画機能を集約し、「ハードウェア商品部」を新設しました。業態を超えて現場の知見を共有することで、より幅広いお客様に価値を提供できる商品づくりを目指しています。

同時に櫻井氏が重視したのが、「何をつくるか」ではなく「何のためにつくるか」を明確にすることでした。そこで商品そのものではなく、お客様や現場にとっての価値を判断基準とするミッションを策定しました。

その結果、商品仕様だけでなく、「本当に現場に受け入れられるか」を起点に議論する文化が、少しずつ根付き始めています。

ハードウェア商品部のメンバーが並ぶ集合写真。現場の知見を共有し、使いやすいPOSシステムの商品企画に取り組むチーム。

ハードとソフト、ともにお客様価値を追求し、スマートストア時代の新たな買い物文化を創造する

人口減少や人手不足、セルフ化、店舗の多様化。店舗を取り巻く環境が変われば、求められるPOSシステムの形も変わります。だからこそ、「SS-U1」もまた、完成形ではないと櫻井氏は話します。

「”SS-U1”は、これからのPOSシステムを考える上で、ハードウェアの一つの答えに近いと思っています。しかし、まだ万能ではありません。すべての商品開発に、終点はありません。ここから広がっていく可能性も、今まさに追求しているところ。まだまだ、POSシステムは進化していますよ。その先も、もちろん企画中です。お楽しみに」

長年培ってきた現場とのつながりと商品開発の力。その強みは、商品企画、開発、営業、保守がそれぞれの知見をつなぎ、現場の声を商品やサービスの進化へ生かしてきたことにあります。ソフトウェアの存在感が増す今だからこそ、その価値を現場で実現するハードウェアには、これまで以上に重要な役割が求められています。

笑顔で展望を語る櫻井氏

※ (出典)Global EPOS and Self-Checkout 2026, Datos Insights 2025年「TOSHIBA」及び「東芝テック」のEPOS及びセルフレジの導入ベースシェア

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