お客様の心をつかむSNS販促(後編)
人気の高いアカウントを育てる
2023年12月21日
流通お店づくりトピックス
■業種・業態:スーパー/飲食店
■キーワード:SNS/フォロワー/ハッシュタグ/分析ツール
お客様の心をつかむSNS販促(前編)ではSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の基本的な活用法を紹介しました。今回はさらに一歩進んで、反響を得るためのコツや、アンケート機能やハッシュタグを使った投稿、分析ツールによる効果検証など、より実践的な運用法を解説します。
反響を得るためのコンテンツ5大要素
SNSマーケティングで最も大切なのは「利用者(お客様)を中心に物事を考えること」です。あからさまな宣伝ばかりではアカウント自体に興味を持たれなくなりますので、お店・商品を利用するメリットを感じてもらえるような発信をすることが重要です。
SNSで反響を得るコンテンツには、①タイムリー、②親しみやすい、③共感できる、④役に立つ、⑤ユーザー参加型といった特徴がみられます(図表1)。このうち一つ以上の要素を盛り込めば、良好な反応や拡散効果が期待できます。
タイムリーとは、投稿の日時や季節に合わせたテーマを盛り込むことです。一例として、「今日は○○の日!」と記念日に合わせて、関連する自社の商品の写真を投稿するといった手法があります。
親しみやすさは日常的な投稿でも意識をしましょう。事務的な告知だけをするのではなく、朝なら「おはようございます」、夕方は「お疲れさまです」といった挨拶を入れるだけでも、親しみを感じてもらえるきっかけになります。
ユーザー参加型の投稿はSNSの特性を生かしたもので、選択肢を示して「好きな商品はどれ?」「ビールと一緒に食べたいのはどっち?」といった問いかけをするコンテンツが代表的です。利用者との距離が縮まり、ニーズを知ることもできて一石二鳥です。多くのSNSにはアンケート作成機能がついており、このような問いかけが手軽にできます(図表2)。
タイムリー |
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親しみやすい |
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共感できる |
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役に立つ |
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ユーザー参加型 |
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図表1:SNSで反響を得るための5大要素
ハッシュタグは投稿数の多い、少ないを混ぜる
最近はハッシュタグ検索が盛んになり、タグの活用も重要になっています。
ツイッターはタグも文字数に含まれるため厳選してつける必要があります。インスタグラムは1投稿に最大30個までと決まっています。
投稿数の多い人気のタグをつけるほど検索される確率は高まりますが、ほかの投稿に埋もれやすく、逆に投稿数の少ないタグは、見つけられやすいですが投稿自体の母数は少ないためバランスよくつけるのがおすすめです。「#今日のランチ #ハヤシライス #懐かしの洋食」というように、投稿数の多いタグと少ないタグ、包括的なタグとピンポイントのタグを混ぜるのがコツです。インスタグラムの場合はページ上部の検索窓にキーワードを打ち込むと、各タグの投稿数がわかります(図表3)。
ただし、投稿と関連のないタグをつけると悪印象を持たれますので、投稿にふさわしいタグを選ぶのが大前提です。
クーポンや割引キャンペーンで新規フォロワーを獲得
お店や商品、セールの情報を発信するだけでも販促・集客効果はありますが、より効果を高めるには、クーポンなどを発行するのも一つの方法です。
たとえばLINEで開設できる公式アカウントには、「友だち」に登録してくれた利用者にクーポンを配信できる機能が備わっています。
より手軽な方法として、おもにツイッターで、フォローや特定の投稿のリツイートをしたスマホ画面を店頭で提示すると割引が受けられるキャンペーンも広く行われています。飲食店ならメニューや店内販促物にお店のアカウントを書いておき、その場でフォローすれば特典を受けられることを告知すると、新規フォロワー獲得の効果もあります。
ただし、フェイスブックは投稿のシェアをキャンペーン参加の条件にすることを禁止しており、このような販促を行う際には、利用しているSNSの規約に反していないかを確認する必要があります。ロゴ(フェイスブックの「f」マークなど)の色を変えるといった改変も禁止されていますので、販促物に載せる際は注意しましょう。
肖像権・著作権の侵害やフェイクニュース拡散に注意
各SNSの規約以外にも、守るべきルールやマナーがあります。
投稿内容は他者の肖像権や著作権を侵害しないよう配慮する必要があります。
特に店内で写真や動画を撮影するときはお客様の顔がうつらないように注意が必要です。
ニュース記事や本などから情報を引用するときは、出典を明記するなど著作権法に定められた手続きが必要です。
また、フェイクニュースなどの誤った情報を拡散しないように注意しましょう。特に現在は新型コロナウイルスに言及する機会も多いと思いますが、根拠や情報源がはっきりしない情報も多く出回っています。自分で投稿するのはもちろん、リツイートするだけでも責任を問われる可能性があります。
分析ツールを駆使して目標設定・効果検証を実施
各SNSには分析ツールが用意されており、フォロワー数の推移、各投稿が獲得した「いいね!」やコメントの数などを詳細に見ることができます。
たとえばフェイスブックページを開設すると使える「インサイト」という機能では、ページ閲覧数や直近の投稿が得た反応の数、よく見られている時間帯など多彩なデータが活用できるほか、競合店のページを指定しておけば、「いいね!」数などの比較を簡単に行うことができます。
各SNSには独自のアルゴリズムがあり、「いいね!」やコメントの数など反応が多い投稿がタイムラインや検索結果表示画面で優先的に表示される仕組みがあります。これらのデータを定期的にチェックし、数字が思うように伸びていなければ投稿の傾向を変えるなどの対策が必要になります。競合店のアカウントのフォロワー数などを参考にすると、目標を設定しやすいでしょう。
協力可能な体制を築いて継続的な運用を目指す
SNSマーケティングは継続が重要で、途中でやめてしまってはアカウントをフォローしてくれたファンや、お客様にも悪印象を与えます。
一人に任せきりになると負担がかかり、その担当者が異動や離職した場合に運用が継続できない恐れもあります。前編で解説したように運用マニュアルやペルソナを設定し、どんな投稿をすればいいかを明らかにしておくと、複数のスタッフでも方針を統一して運用できます。
また、フォロワーや「いいね!」が増えていくと、運用継続のモチベーションにもつながります。目標設定→効果検証→改善のサイクルを繰り返して、人気の高いアカウントに育てましょう。
監修:本門功一郎
一般社団法人SNSエキスパート協会理事
※当記事は2020年10月時点のものです。
時間の経過などによって内容が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。