リスクと機会

重要課題(マテリアリティ)

東芝テックグループは東芝グループの一員として3つの重要課題(マテリアリティ)を設定しています。組織の社会的責任に関する国際的なガイダンス規格「ISO26000」による自己評価に加えて、ステークホルダーとの対話や第三者意見なども参考に、東芝テックグループにとっての重要度とステークホルダーにとっての重要度の両面から評価し、特定しました。その一つが「環境経営」であり、さまざまな環境課題のなかでも「気候変動の緩和および気候変動への適応」「持続可能な資源の利用」「汚染の予防」の3項目は、そのリスクと機会を相対的に重要度の高い課題として位置づけています。

東芝テックグループのマテリアリティにおける環境関連項目の位置づけ

東芝テックグループのマテリアリティにおける環境関連項目の位置づけ

「気候変動の緩和および気候変動への適応」は、その影響の大きさ・広さから、事業活動に与える影響が大きいと考えています。IPCC※ によれば、気候ターゲット2℃以下にするためにはCO2 累積排出量を800GtC以下にする必要があり、現状の排出規模が続けば20-30年のうち許容量を超えてしまうことも指摘されています。これにともなって異常気象の増加や気象パターンの変動が大きくなることも想定されています。脱炭素社会に向けて温室効果ガス排出量を大幅に削減していくとしても、また、温度上昇・気候変動影響が一気に顕在化してくるとしても、不確実性をはらみながらも大きな社会システムの変化をともなうものであり、このような大きな変化によるリスクと機会をしっかりと認識し、これからの企業経営に組み込んでいくことが必要不可欠です。

「持続可能な資源の利用」については、エネルギー効率だけでなく資源効率に関する法規制が導入されるリスクや、資源価格の高騰、調達リスクなどがありますが、資源効率を改善させることでコスト削減につなげるとともに、リユース・リサイクルによる資源依存度の低減を図ります。

「汚染の予防」は化学物質リスクの最小化をめざし、製品含有化学物質管理を徹底します。グローバルにさまざまな関連法規制が本格化しており、サプライチェーンでの情報伝達を着実に行い、対応の遅れや不備により事業停止のリスクを回避します。

東芝テックグループは東芝グループの一員として環境ビジョン2050の実現をめざし、これら重要課題への対応を中心に継続的な対応を進めていきます。

※Intergovernmental Panel on Climate Change:国連気候変動に関する政府間パネル

気候変動のリスクと機会

気候変動のリスクと機会は重要な経営課題の一つであり、2023年に向けた行動計画(第7次環境アクションプラン)のなかで気候変動への対応として複数のKPI(重要業績評価指標)を盛り込んでいます。

温室効果ガスの管理は、炭素税などの政策や省エネ規則への対応というだけでなく、企業の気候変動への取り組み姿勢が企業の環境ブランドさらには製品・サービスの選択に影響を及ぼすようになっていく可能性があることを踏まえ、事業活動製品・サービスの両面からKPIを設定しました。

事業プロセスの温室効果ガス管理は、今後の規制強化に対する移行リスク低減(例えば、将来の炭素税の導入・強化など)として有効です。加えて、生産性向上によって移行リスクを抑えつつ競争力を高める機会と捉えています。

製品・サービスは省エネ規則の強化が移行リスクとなりますが、グローバルでの環境法規制動向を業界団体や社外サービスを活用してモニタリング・評価しています。併せて、各地域での省エネ市場拡大の機会を最大化するようにエネルギー効率の高い製品・サービスの拡大を進めていきます。